・カルメルの霊性・ キリストの歩まれた道を聖母マリアとともに 伊従信子 2020年3月

2020年3月9日

この世において苦しみが絶えることはありません。
時と場所を超えて、苦しみの原因、様相は違っても。
しかし、苦しみをどのように耐えて生き抜くかは、
人によって違います。苦しみを知る人は、安易に他者の苦しみを慰めることはないでしょう。

神のみことばキリストは「永遠の今」のうちに苦しみを生き、わたしたち一人ひとりの苦しみを知っておられました。

「十字架にかけられた方の近くにとどまっているだけで、
あなたの苦しみは最高の祈りです。」~三位一体のエリザベット~ *

苦しんでいるときのあなたの避難所は母の心、聖母の心です。
あらゆる心の痛手や悲痛な思いを知っておられても、
聖母の心はいつも穏やかで強かったのです。
その心は変わることなく キリストの心にゆだねられていましたから。 *

聖母は強く、雄々しく十字架の下に立っておられます。
「見なさい、あなたの母を」と主はわたしに言われ、
聖マリアを母としてわたしに与えてくだいます。
主がおん父のもとに戻られた今、
「キリストの体である教会のために、
主の苦しみの欠けたところを補うために・・・」

ご自分の代わりにわたしを十字架の上に置かれます
その時、聖母はなおも十字架のもとに留まって、
御子のように苦しむことをわたしに教えられます。
そして聖母のほか誰も聞くとることのできなかった
主の魂の最後の歌を、 わたしに聞かせようと望まれます。*
どうぞ、四旬節の日々を 聖母マリアとともに過されますように。  

                
伊従 信子(いより のぶこ)

* 『いのちの泉のほとりにて』三位一体のエリザベット、
ドン・ボスコ社、2017 伊従信子編訳