東京教区カトリック関町教会 テレジア祭2015の企画の一つとして
昨年9月27日に片山はるひが『テレサとテレーズ』というテーマで講話を行いました。
その講話を10回に分けてご紹介していきます。
今回はその8回目です。
『テレサとテレーズ』(8)
片山はるひ(ノートルダム・ド・ヴィ会員)
さて、テレサの最高傑作といわれる最後の著作に『霊魂の城』という作品があります。ここでテレサは、私たちの魂をひとつの城に譬えます。
私はまず、霊魂をただ一つのダイヤモンド、たいへん透明な水晶でできているお城と考えてみました。そこには、天国に多くのすみかがあるように、たくさん部屋があります。そして、中心には神がおられます。このお城に入る門は、祈りと考察です。
(『霊魂の城』第一の住居)
ご覧になってわかるように、これはアビラの城壁のイメージです。スペインのお城は平たいものです。その中心に王さまがいます。中にいるほど敵の攻撃から守られるので中心に王さまがいます。
これが私たちの魂のイメージです。神さまはまん中にいるのですが、私たちはインターネットを見たりビデオを観たり、あっちこっちでいろいろなことをして、お城の外にいます。外に意識が行っているので、内側にいる王さまに気がつかないのです。でも気がつかなくてもいるのです。では、気が付きましょうかと、気がついていく過程が祈りの深まりになっていきます。本当に王さまと一緒になったとき、これがいわゆる聖性にたどりつく、神と一致するということです。
私たちの喜びとは神と一緒にいること、天国とそういうことです。私を愛してくださった、ずっと愛してくださる、これ以上はないという人と一緒にいるのが天国です。ですから、この地上で、もし私たちが気づいてこのお城に入っていけば、そこにもう天国はあることになります。
パウロも実は同じことを言っています。
あなたがたは、自分が神の神殿であり、神の霊が自分たちの内に住んでいることを知らないのですか。 (Ⅰコリント3・16)
テレサは同じことを違うイメージをもって繰り返します。これは福音書のメッセージです。ですから特殊なことではないのです。私たち一人ひとりのうちに神はおられる。でも気づかない。ではどうやって気づくことができるのか。
(つづく)
〔2015年9月27日 関町教会聖堂にて〕
まとめ=関町教会広報部