東京教区カトリック関町教会 テレジア祭2015の企画の一つとして
昨年9月27日に片山はるひさんが『テレサとテレーズ』というテーマで講話を行いました。
その講話を10回に分けてご紹介していきます。
今回はその4回目です。
『テレサとテレーズ』(4)
片山はるひ(ノートルダム・ド・ヴィ会員)
ありとあらゆる苦労を経て
そしてテレサは、1582年、アルバ・デ・トルメスというところで、今でいう過労死のように、力を使い果たして亡くなります。
テレサは人生の中でありとあらゆる人間的な苦労をしました。
いちばん悲惨なときには、せっかく総長様の命を受けて創立した修道院でしたのに、紆余曲折の末、「それはおまえが自分勝手にやっていることだ」と言われて、蟄居処分になったことがありました。(同志の十字架の聖ヨハネも、牢屋に入れられて、ひどい目に遭い、命からがらどうにかそこから脱出するという体験もしています。)ありとあらゆる苦しみのなかを生きた人でした。
そのテレサは1622年に列聖されます。ザビエル、イグナチオ・ロヨラと同じ日です。3人の、スペインが生んだ偉大な聖人たちです。
テレサとテレーズの霊的絆
ここから、テレサとテレーズのつながりについてお話ししていきます。
本名としていただいた名
テレーズとテレサのつながりは何か、というと、まず名前です。テレーズの「テレーズ」は本名です。西洋の人たちの名前は聖人の名前です。その名前の聖人の祝日が、その人のバースデイと同じような祝日になります。当時の修道院は入ると名前が変わる場合が結構多かったのですが、テレーズの場合は、「この名前が変えられたくないな」と思っていたら、修道院長様が「テレーズでいきましょう」と言ってくださったので、そのままの名前になりました。
この写真は修道院に入ったときの可愛いノビス(修練女)の服です。テレーズがどうやってカルメル会とのつながりをもっていたかというと、お父さんと毎日散歩をしていたのです。
ついでに申し上げますと、テレーズのお父さんとお母さんは、今年の10月18日に聖人になります(注1)。とても大きなお祝いになると思います。聖人家族になるのです。
(注1)昨年の10月18日に列聖されました。
多くの苦しみを抱えていた家族
このテレーズの両親は、模範的ではありますが、苦労のなかった人たちではありません。それどころか、お母さんは乳がんで亡くなり、お父さんは気がふれたと言われ、テレーズはどれだけ苦しんだか。テレーズは不登校児であり、心身症であり、落ちこぼれであったという話を去年〔テレジア祭の講演会で〕しましたが、テレーズの一家は、現代のありとあらゆる問題を抱えていた家族です。その家族がいろいろななか聖人となっていくのです。私たちがなぜテレーズに親しみを覚えるかというと、どんな人でも神に近づき、どんなに貧しく、弱さを抱えている人たちでも、それだからこそ神の愛を受け入れることができるのだ、その秘密をテレーズとその家族は身をもって生きていたからではないかと思います。
つづく
〔2015年9月27日 関町教会聖堂にて〕
まとめ=関町教会広報部