11月13日にパリでおきた多発テロから一週間たちました。
フランスがすぐ報復の空爆を始め、暴力の連鎖が限りなく続くようなやりきれない思いにかられていた時、一人の若いお父さんの手紙、妻をコンサートホール「ルバクタクラン」で亡くした一人のジャーナリストの手紙が
フェイスブックで綴られ、世界をかけめぐっています。
そこには、底知れぬ悲しみと同時に家族への、そして世界への深い愛と平和への毅然とした態度が綴られています。
憎しみも怒りも、平和を生み出すことはない。愛だけが、希望と平和を生み出す。
このレリスさんの言葉を、みなさんにも紹介したくて、全訳をのせます。
(朝日新聞でも紹介されましたが、少しわかりにくいところがあったので、
こちらで訳してみました。)
彼のような人々とともに、平和のために静かに、そして忍耐と希望を持って祈り、平和のために行動したいと思います。
12月8日から、「いつくしみの聖年」が始まりますね。
神のいつくしみの力に信頼しつつ。(H.K)
*****
テロリスト達への手紙
君たちに憎しみはあげない。
「金曜日の夜、君たちは素晴らしい人、ぼくの人生の唯一の愛を奪った。
僕の息子の母を。
だが、君たちに僕の憎しみはあげない。
君たちがだれであるのかは知らないし、知りたくもない。
だが、もし君たちが無差別殺人でもって仕えていると思っている神が、
われわれをその似姿に創られたのなら
妻の体に突き刺さった弾丸は、その神の心をも傷つけたはずだ。
だから、君たちに憎しみというプレゼントはしない。
そうすれば、君たちの思うつぼだ。
そして憎しみに怒りで答えるなら、
それは、君たちのようなテロリストを生み出したのと同じ無知に陥ることだからだ。
君たちは、僕が恐怖を覚え、まわりの人々を不審な目で見、安全のために自由を犠牲にすることを期待しているのだろう。
が、君たちの負けだ。ぼくとぼくの人生は変わらないからだ。
妻に今朝ようやく再会することができた。
彼女はあの金曜日の日に出かけたときと同じくらい美しかった。
僕が12年前に一目惚れした時と同じくらい美しかった。
もちろん、僕は今悲しみにうちのめされている。
きみたちは、たしかに短い間は勝利した。
だけど、僕は知っている。
妻は、ぼくたちとともにこれからも生き続けることを。
君たちには閉ざされている自由な魂の集う天国でまた僕たちは再会するのだということを。
ぼくと息子は今、二人きりになった。
だけれど、僕たちは世界中のどんな軍隊よりも強い。
それに、僕には君たちにかかずりあって無駄にする時間なんてない。
ようやく17ヶ月になった息子のメルヴィルがお昼寝から起きる時間だからだ。
メルヴィルは、いつもと同じようにおやつを食べ、それから僕たちはいつもと同じように遊ぶだろう。
君たちには気の毒だが、一生涯、この小さなメルヴィルは、かならず幸せで自由に生きるだろう。
なぜなら、君たちには、彼の憎しみもあげないからだ。」
アントワーヌ・レリス