子どもが 母を愛することができるのは
母が 子供とともに泣き
子供の苦しみを 背負うから
ああ わたしの愛するおん母よ
わたしを引き寄せようと
あなたは 涙を流された
わたしが あなたの子だと信じることは
そんなに難しいことではありません
なぜなら
あなたも わたしと同じように
苦しみ そして死ぬのだから・・・
~ テレーズの詩 ~
新緑の美しい五月には、日本だけでなく多くの国で<母の日>を祝います。日本でもカネーションの花々が町を彩り、母の日のプレゼントの広告が目を引くようになります。教会の伝統では、五月をマリアの月、母マリアへの「子」としての特別な想いを暖め、育むときとしてきました。
五月十三日はテレーズがほほえみの聖母に<不思議な病>をいやされた記念日にあたります。母マリアと日々親しく生きていたテレーズは、二四歳で死ぬ前にしなければならないことがあると言って長い聖母賛歌を詠い残しました。<なぜ わたしはあなたを愛するのか、おお マリアよ!>と題するその詩のなかでテレーズはマリアがこの地上でわたしたちと同じように信仰に生きたことを強調しています。母というものは、何よりもまず子の喜び、子の幸せを願い、子の苦しみ、悲しみを子以上に感じるもの。それでテレーズは、「わたしたちはマリアさまよりもっと幸福です。マリアさまには、わたしたちが慕うような聖母がいらっしゃらないから」と言っています。母マリアに喜ばれ、悲しまれる「子」としての実感からの言葉でしょう。
マリアの月、五月の日々母マリアとのかかわりが深められる日々でありますように。
伊従 信子
ノートルダム・ド・ヴィ