苦悩は私の力の限界を越えるように思えた

叙階後一週間、母親との断絶を残したまま、アンリは家族の誰にも告げずに、故郷を後にしカルメル会修道院へと出発しました。

「苦悩は私の力の限界を越えるように思えた」とアンリは友人に語っています。
母親の反対は、その後ほぼ二年間続くことになります。旅先から母親に自分の心情を打ち明けました。

011「神は、僕を抗いがたい呼びかけで修道生活に招いておられます。僕の召し出しは絶対に確実です。
お母さんに犠牲を強いたことを思うと、泣けてきます。
けれど、これほどはっきりと示された神のみ旨に逆らうことはできません。それで、僕は発ちます。

お願いです、お母さんをこれほど愛している息子と縁を切ることなく、神の方に向いてください。
あなたの息子を完全に神に捧げてください。その子はいまや司祭の心を持っています。神はその子の心を大きく成長させて、お母さんを前より一層愛するようにしてくださいました。
けれど神は何にもまして、ご自身が愛されることを望まれるのです。
あなたの息子アンリより。」
母に宛てて