十字架の聖ヨハネとの運命的な出会い

005ところが、1914年から始まった、第一次世界大戦により、神学校の生活は中断され、アンリは、軍隊に招集されます。

この戦争は、塹壕での肉弾戦の時代で、多くの死傷者を出した悲惨きわまりない戦争でした。

この戦場での試練、兵士達との生活でアンリは人間についての多くの経験を徔ました。
そして、「神の摂理にまったく身を委ねる」ことを学び、徹底的に司祭になる決心を固めて神学校へと戻りました。

アンリが、探しもとめてきたのは、神の望まれることを完全に果たしたい、それのみでした。
そして一大転機が訪れます。

ある時、なにげなく手にとって読み始めた、十字架の聖ヨハネの伝記にアンリは、稲妻に打たれたような衝撃を受けます。

007「神は、自分をカルメル会に呼んでおられる!」

あまりにも、とうとつな、しかし疑うことのできない神からの呼びかけでした。

後に、マリー=ユジェーヌ神父は、

「魂の深みで、私はいつも十字架の聖ヨハネと共に生きていた」

と言うようになります。

現代の十字架の聖ヨハネとまで呼ばれるようになった、マリー=ユジェーヌ神父と十字架の聖ヨハネとのこれが運命的な出会いでした。