共に生きた人々~小さな奴隷の殉教者~エメランティアナ

num 2004-0971003聖エメランティアナと言っても、ほとんどの人は、知らない、聞いたこともない、と答えるでしょう。しかしあまり知られていないこの小さな聖人が、マリー=ユジェーヌ神父にとって、ひいてはノートルダム・ド・ヴィの会員にとって、なくてはならないモデルとなったいきさつは驚嘆すべきものです。

出来事のなかに働かれる聖霊の招きに、常に心を開いていたエウジェンヌ師の深い洞察が、奴隷として古代ローマで殉教した慎ましい女の子を、会員の「長女」として見出したのです。

1月23日の不思議

マリー=ユジェーヌ神父は、幾年にもわたって1月23日になると予期せぬ贈り物を受け取るのに気づきました。それは色々な形で現れました。その時々の心配事へ答が与えられたり、摂理的な出来事があったり、あるいはまさしく品物として与えられたりと、形こそ違え、会にとってめぐみとなるような事柄が1月23日になると起こるのでした。師はそこに天からの「誰か」がいることに気づきました。おそらく大聖人ではないでしょう。小さな子供で、誰か好きな人への贈り物をそっと置いた後、笑いながらこっそりと姿を隠す…そんな様子がぴったりでした。贈り物を受け取った後に残るほのかな喜びがエウジェンヌ師の心にいつまでも消えずに残りました。

004そのとき師は、教会が1月23日にローマの初代教会の殉教者であるエメランティアナを祝っていることを発見しました。エメランティアナは聖女アグネスの乳姉妹でもある幼い奴隷でした。アグネスに仕え、アグネスと遊び、二人は共に成長したのです。アグネスはキリスト者でした。エメランティアナは自分の主人であり友でもあるアグネスがキリスト者として生き、祈り、そして殉教していくのを見ました。エメランティアナはアグネスよりすべてを受けました。とりわけ彼女の信仰とイエスへの愛を。アグネスが殉教した後も、エメランティアナは友への愛と忠実さからその墓へたびたび通い、ついには自身も石殺しにされてしまいます。

小さなモデル

マリー=ユジェーヌ神父にとってエメランティアナのメッセージは、師自身のみならず、ノートルダム・ド・ヴィの会員にも深い意味をもつものでした。大聖人であるアグネスの陰で生き、自身は洗礼を受けていたかどうかさえ定かではないエメランティアナが、イエスへの愛、そして友への愛につき動かされて殉教していく姿のなかに、エウジェンヌ師は隠れて生きる在俗会員のモデルを見出していました。
その後、エメランティアナはエウジェンヌ師の信頼に応えるかのように、1月23日には不思議な贈り物を届け続けてくれるのです。

謙虚でありなさい、小さい者でありなさい。
どこであろうと、あなたの役目は仕えることです。沈黙のうちに、暗がりのなかで、自分を誇示することなく。
(…)

エメランティアナは、人目につかない役割を精力的に、そして効果的に果たし、ついには殉教に至るまで忠実に続けたのです。