今年の3月6日は灰の水曜日。教会の典礼では復活祭までの40日間四旬節にはいります。
「どうして、十字架を担えば途中でくじけてしまう、などと恐れているのですか。イエスさまも、カルワリオへの道すがら、なん度も倒れられたではありませんか。 それなのに、か弱い小さな子供でしかないあなたは彼にあやかろうとはしないのですか。必要なら百度でも倒れ、そして倒れる前よりもさらに勇気をこめて立ち上がり、主に対する愛を証したいと思いませんか」
リジューの聖テレーズ*
嵐の中を雄々しく飛ぶ鷲のような英雄的行為を、私たちはどこか望んでしまいます。苦しむときには〝格好よく″苦しみたいと思います。そこには自分の内に英雄を崇拝しようとする危険が潜んでいるようです。テレーズは弱い者として苦しむことが神の期待を決して裏切らないだけでなく、神の子キリストは弱々しく苦しまれたことを私たちに思い出させ、弱さの体験を通して、一瞬一瞬ひたすら神の慈しみに信頼することを教えてくれます。
「相変わらず主はあなたを十字架にかけておられるようですね。聖パウロがコロサイ1・24で言うように、あなたもまた、いわばキリストの人性の延長なので、あなたのうちで主はご受難の延長として苦しまれます。それであなたの苦しみは、どんなに多くの人々を救うことができるのでしょう。活動による使徒職のうえに、あなたは苦しみの使徒職をも果たしているのです。」
三位一体のエリザベト*
伊従信子(いより のぶこ)
ノートルダム・ド・ヴィ
* 『弱さと神の慈しみ』伊従信子 サン・パウロ社
* 『神はわたしのうちに、わたしは神のうちに』178p
伊従信子、聖母文庫、聖母の騎士社