カルメルの教えを全ての人々に伝えるためには、カルメル会士は尐なく、その活動範囲も限られていることにマリー=ユジェーヌ神父は気づき、その限界に苦しみます。
ならば、その「教えを自ら生き、それを社会の中から人々に伝える人たち」がいたらどんなにいいだろうか。と心の底から願うようになります。
この不可能に思えた望みは、1929年に3人の女性と出会うことによって、具体的な形で実現することになりました。
共に女子教育に携わっていた3人は、カルメルの霊性に強く心を引かれ、その教えを自分たちも生きたいと熱望していました。
それで、自分の願いを実現してくれるのは彼女たちだ、とマリーエウジェヌ師は直感したのです。すべては、聖霊によって導かれた出会いでした。
その同じ時期、南フランス、アヴィニヨン教区にあるヴナスク村の古いチャペルがカルメル会に寄贈されます。
この由緒ある聖堂で、3人の女性たちは、かわるがわる祈りの生活を始めます。
そこに、同じような望みを抱く人々が次第に加わり、新しいグループ、ノートルダム・ド・ヴィが誕生することになります。
このチャペルは、いのちの聖母 ノートルダム・ド・ヴィに献げられ、6世紀からすでに、聖母への崇敬がささげられていました。
マリー=ユジェーヌ神父にとって、新しく生まれた会の真の創立者は、他でもない、この「いのちの聖母」マリアでした。
「この場所で、聖母マリアは、いのちの母です。わたしたちは、彼女の家にいるのです。そこは、ご自分の恵の宝と、母としての力を及ぼすために、自ら選ばれた場所なのです。」