幼きイエスのマリー=ユジェーヌ神父となる

0121922年、アンリは、パリ郊外にあるカルメル会の修練院に入り、翌年1923年には、誓願をたてて、カルメル会士、幼きイエスのマリー=ユジェーヌ神父となりました。

この1923年はマリーエウジェヌ師にとって大きな喜びの年となります。リジューの聖テレーズが列福されたからでした。

彼は、その喜びを友達への手紙にこう綴っています。

「今日は僕の生涯でもっともすばらしい日だ。
テレーズの列福は、イエスご自身に栄光を帰する最高の方法だと思える。・・・・ それはぼくの長年のそして深い望みの実現なんだ。
テレーズの使命は、今の時代に神がのぞまれる方法で、人々のうちに神の愛を広げることだ。

僕自身、テレーズの下さった数々の恵の直接の証人なのだが、その恵への感謝だけではなく、将来への果てしなく、また無限とも言える希望が、ぼくの胸のうちにはある。
そして、この希望がぼくの魂を養ってくれる。なぜならこの小さい聖女は、世界に神の慈しみの愛を溢れさせてくれるだろうから。
君はすでにテレーズを愛していると思うけれど、知れば知るほどもっと愛するようになると思う。そして彼女に習って、神との親しさに生きることができるようになる。」

013自分の使命は、愛である神を知らせ、人々を神へと導くことにある、
と確信したマリー=ユジェーヌ神父は、それ以降精力的な使徒職を開始します。
カルメルの聖人についての、様々な場所での、講話、霊的指導、そして、「カルメル」誌の編集長に任命されてからは、この仕事を通して、カルメルの霊性を広く伝えてゆくことに全力を注ぎました。

マリー=ユジェーヌ神父は、カルメルの霊性という宝は、決して修道者だけ のものではなく、全ての人々のものであることを確信していました。

「わたしは、この教えを人々に伝えたい。聖テレーズは、愛の神を人々に知らせるために、小さな人々の群れが欲しいと言っていた。その人々の群れは修道院の中だけでなく、街角でも大通りでも神が自分との親しさを深めるようにと呼んでおられる人々がいるところなら、どこにでも見つけられるのだ。」

友達への手紙には、こう書き送ります。

「テレーズを知り、愛するようになってからの道のりを振り返ってください。今は心に十分な静けさがないとしても、神の恵みに後ろから押されてあなたは歩いています。
歩いているときは、ほとんど周りの風景に目をとめないし、やって来た道のりを考えません。けれども神が定められたところに着くと、きっともっとよくわかるでしょう。

だから安心してください。そこに着くまで落ち着いて、何が起ころうとも心安らかでいてください。
困難の中、光のうち、闇または迷いのうちにも、あなたは進んでいるからです。
それで、むしろ弱いものであることを幸いと思ってください。自分の弱さをはっきりと認める恵みを神に願ってください。」

1923年4月29日友へ